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詩人:どるとる
今日も誰かが さようならの向こう側へ
消えていく その後ろ姿も見せないまま
最後の時に言葉を残すならば どんな言葉を残そうか どこの誰に残そうか
僕にはそんな人はいるだろか
少女が一人きり 佇んでいる河原
遠くに見える希望とも不安ともつかない
あしたという場所へいろんな思いを募らせて まだあどけない瞳で 優しく微笑んだ
さようならは繰り返される
人と出会えば別れがあるし
今日と出会えば明日は今日の今日ではなくなる
それでも僕らは常に先へ先へと歩いてく生き物だから
「さようならまたあした」と少し希望にも似た期待を胸に新しい日付へと続く扉を開けるんだろう
「さようならまたあした」と言葉にはせずとも強がりにも似たなけなしの勇気で不安さえ見えていないかのように振る舞うのさ
時が過ぎれば幼かった少女さえも 腹に子を身ごもり 母親となる
旅立った母や父のあの笑顔あのぬくもり
少女は死ぬまで忘れまいと我が子を抱きしめる
そして同じように
陽射しのようなあたたかな眼差しを注がれて育む命に知り得る全ての愛をおしえる
さようならと
はじめまして
繰り返されるはじまりと終わり
悲しみばかりに気をとられ 泣かぬことのないように
生まれたことの喜びや生きていくことの素晴らしさ
我が子と愛する人と手をつなぎ探していく
ささやかなれどあたたかい家族と。