詩人:高級スプーン似
生暖かい三月
頭を抱えながら
テーブルに肘をつき
犬のように
どんぶり飯を
頬張るおばちゃん
片隅にショートホープ
ちらかしすぎだぞ
ご飯つぶ
遠い目をして
耳を塞いだら
少しは
気も紛れるのかな
灰皿に溜まるホープ
最後の一本と
頼んだ瓶ビールは
どちらも一口呑んだだけ
生暖かい三月
厚着で出掛けて大失敗
でも
春と呼ぶには
まだ早いか
汗ばんだ午後も
夕日が沈めば薄ら寒い
夜になり
ぬくもりが恋しくなった今
気付く
昼間のおばちゃんは
あの場所で
静かに
待っていたんじゃないか
頭を隠して
天使のように
プリマヴェーラの訪れを
片隅に長くて短い
希望を置いて
背中に生えた
翼で羽ばたく
全裸のおばちゃんを
想像してしまい
飲んでいたお茶を
吹き出した
最悪だな
でも
久しぶりに笑ったなあ
携帯のストラップ
小さな羽のある
赤ちゃんが揺れ
また吹き出した
三分も続かない
ショートホープ
次の日
風邪を引いたしな