詩人:甘味亭 真朱麻呂
喜びにはいつも影のように悲しみが憑き纏うモノ
光の下に影ができるように必ず影が生まれるモノ
影のないものでも
形のないものでも
影とよべるものはある
それが喜びならば悲しみという対になるものが影の代わりとしてあるもの
たとえれば花瓶の下にできた影
それが悲しみで そこに差す光があれば影はそこにつけ込んでそっと忍び入(い)る
光と影は対になるものならばすべてに関係する
この街にもそれは存在する
そして人間の心にさえ影はそっとわからぬうちに忍びこむ
涙は涙でも悲しみから流す涙と喜びから流す涙では違うように影は影としての形をもたないけれどたしかに存在するものなんだ
下に視線を落とせばそこには影
見上げれば光
見上げた月の下に影
光につきまとう影
ほら あるだろう?
影はあるだろう?
影からは逃げられない
一生ご厄介になられるのさ
このまま。