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詩人:甘味亭 真朱麻呂
涙は何処へ流れていくのかなあ
僕の知らないとこへ流れていくのかなあ
僕の瞳の中からポロポロとこぼれて出ていく涙はどこへ行くのかな
不思議な不思議な涙さ
旅立ちのしらせもないまま旅人ははじけてもう会えない
命のようだ
僕らのようだ
悲しくなるのは涙の終わりに人の終わりをかいま見るからか
なぜか行方をたずねてはいけない気がするよ
だからね涙を追いかけたりはしない
今まで追いかけたりはしなかった
だって僕なんかじゃ拾いきれないよ
涙の残骸は
人がやがて時の末に旅を終えたときくたばるように涙を生き返らせられない
涙は風にさらわれてゆくえもしらせずにあっという間に別れの言葉もなく新しい旅へと出ていった
なまえも名乗らず
「名乗るほどの者ではないですから…」なんてカッコもつけずに
謙虚に最後まで ほんとう思慮深いやつだった
旅の終わりが新しい始まりへと変わる
終わりの黄昏は始まりへと続く夜明けだと誰かが言葉じゃない何かで告げてるから
今はそれを信じよう
何ひとつわからないけどだからこそ信じよう
だから僕も涙がゆくえを告げぬようにいつかゆくえも告げられずに終わるのか、そして自分じゃコントロールも利かないようにいつ終わるのかわからないように手だてもなく終わるのか
そのふたつの致し方なさで仕方なく
そんな残酷な悲しみと餌のように世の中というだだっ広い庭にばらまかれた喜びで僕らは転がされ翻弄されてるのか
だから涙はなにも言えずに旅立つのか
今さら 解ったところで僕は自分の悲劇的な運命に気づいただけ
また新しいこたえに気づいてしまっただけなのに
なんでこんな時ほど 笑顔は輝くのか
わからない自分がわからない
僕は名もない旅人
いつか宛も行方もつけず旅立つ
涙のように醒めぬ夢に落ちる
ひゅるりらら…。