詩人:甘味亭 真朱麻呂
振り返れば
出来上がる
今まで歩いてきた人生
呆れるほどの繰り返し
その末に
出来上がった
地図
それが僕の人生
見えないけど
かけがえのない
地図
今 また一からはやり直せないけど
イメージの中でひとつひとつイメージの僕に思い返して歩かせている
思ったよりも
鮮やかな記憶だ
今 夕暮れを見て
その夕暮れに重ねる
ほら 夕暮れより鮮やかで綺麗だろ
見えないのに綺麗だろ
それはきっと僕がそう思ってるからだろうけど
夕暮れさえ霞んで見える
それは事実だ
大好きな彼女のことも
故郷の大切な親たちも
今は横に置いて
思い出だけに肩まで浸る
そして
夕暮れの向こう
はるかな先の今より未来へと流れていくイメージはこれからどんなことが待つのかとまずさきに悲しみより喜びが先を急ぐ
ドキドキしてる
旅人
いつか
土に埋もれても
歩いてきた思い出は忘れないさ 悲しみももちろん
涙でにじむ空を見て誓ったそうだ
まるで恥ずかしいからひと事みたいに言うけど
二十歳…
五十…
百…
それ以上の未知なる時
それはすべて旅人が歩むべき旅路なんだね
だからいつ死のうと僕はそこまで歩いた旅人
その先の道 行けなくても僕なら十分満足できるさ
無理は言わないから
せめて安らぎに満ちた死を…
それまではせめて素晴らしい旅を約束してくれ…
今はまだ 若い旅人
でも忘れたようにいつか振り返れば
イメージしたように僕は年老いた老木
だから 今
今こそ 今こそ
だから 今
夕暮れに吠える
猛々しい犬となる
カラスがちらり
馬鹿にする
通りがけの子供が不審な目で見る
だけど だけど
僕は旅人
そこは旅人
止めず吠える
孤独でも孤高なる旅人。