詩人:七緒
窓から漏れる灯は
海に埋もれているような
錯覚をさせた
凡てを捨てにきた事は
誰も知らないよと
汚れない黒ってのも
いいもんだな
そう言って
頭を預けたのは 五月のこと
何を忘れたの
一番大切なものは
ずっと此処にあったのに
涙を許していた
夏の始めの午後
夕暮れる青には
もう誰を重ねる事もない
そして眠る
あなたに背を向けた事を
わたしの罪とするならば
大きな愛を以て殺してほしい
その手が好きだった
それだけ
時間さえゆっくりと
過ぎてくれたら
もう大丈夫だと
あなたは笑ってみせるだろう
清い瞳 どうかそのままでいてね
何を忘れたの
大切なものなんて
何一つ変わらない
涙を枯らしてまで
私を見てくれたね
何を忘れたの
守りたかったものなんて
一つしか なかったわ
涙を許していた
夏の始めの 午後