詩人:はちみつ
お人形は
彼に恋しています
口は縫いつけられて
塞がれて
声が出せません
お人形は
愛され方を知りません
もしも声を出せば
もうここに置いてもらえない
だからお人形の壊れやすい心は
ぱりんと割れました
そうお人形は諦めました
ただそこにいて
美しい洋服をきて
微笑んでいれば
“彼を近くで見ていられるのよ”
お人形はそうして
だんだん感情まで
抑えていきました
もう優しく微笑むことすらできないお人形
哀しい哀しいお人形
けれど彼が通りすぎた後
お人形は時々涙を流すのです
2003/03/11 (Tue)