詩人:桃鈴
声を張り上げてただ,
『助けて』と泣けばいい
救い出す手だてを
僕が切り開いていこう
“そんな事出来ないよ
世界はひたすらに
壊れゆく
狂いゆく
奪いゆく
周りゆく
進みゆく
迷いゆく
一体何が出来る?”
喋り方を忘れたみたいだ
蝋人形の様に能面で
生気を感じられない
頬伝う涙さえなければ
僕はそれが君だなんて信じない
涙を流すぐらいなら
僕を『頼ってみてよ』
君の為の力を
足りない分は生み出すから
“そんな事出来ないよ
世界はもう独りだけ
暗すぎて
張り裂けて
溺れそう
あなたを受け入れる隙間は
ごめん,
捻り出せないよ”
顔色一つ変えないで
涙は止まらないのに
今つなぎ止めないと
君は消えてしまいそうだ
『そのまま何も言わなくてもいいよ』
腕が痺れ出す位強い力で
僕は君を抱き締める
“そんな事しないでよ
まだ癒えてもいないのに
今温もりを覚えたら
弱い心は確実に
これからも
温もりを求めてしまう
これ以上弱くはなりたくないよ”
微かに震えだした君は
相変わらず声もなく泣いて
それでもその瞳には
覗き込む僕が映る