詩人:鈴砂
春の再来
薔薇庭園で泣く日
庭園の薔薇は笑う
滴るブルーローズ
真っ青な海色は
今や僕の前で満開だった
全てに見せかけて
本当の色だけは見せなかった
それを知った三日前
庭園に咲かせた薔薇を
摘み取って
踏み付けて
僕は本当を探す
荊がそれを面白がり
いたずらに戯れ付いた
気付いてみれば
僕は深い傷を負っていた
傷だけ閉じて
刺はいつまでも僕の中
どうやら随分長いこと
荊に抱かれていたらしい
薔薇庭園の奥に
微かに少女が一人
顔が見えない 君は誰
春の再来
薔薇庭園で泣く日
庭園の薔薇は笑う
2005/05/01 (Sun)