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詩人:右色
穴埋めみたいなものなんだ
僕にとって
会話なんてものはね
例えば
僕にとって一から十まで
キチンと話しているつもりでも
誰かにとっては一の次に五が来るような飛躍だったり
そもそも一から始まらないことだってある
そこで説明なんて有意義なだけの余剰で
空いた空白をツギハギする
誰かにとってはそれでいいと思う
しかし僕にとって一から十で完全だったものに
途中で余計な記号を入れるから
途端にワケの分からないものになる
だから感動や思い出を伝えることは出来ても
僕の中には残らない
だから今はまだ
会話はしたくないし
言葉にもしたくない
勘違いして欲しくないのは
会話は好きだし
楽しいけれど
それはいつだって僕と誰かの間の穴埋めで
埋める土砂は
もう僕には戻らない
今はそれが少し
寂しい、と思うだけ