詩人:甘味亭 真朱麻呂
家にさんざん疲れて帰って
誰もいない部屋にひとり 重い扉を引いて入れば孤独が待ってただけ
リビングの明かりをつけてベッドに倒れ込むようにスーツのまま夢に潜る
そんな日々をあのころの僕が望んでいたと思うか?
そんなわけがないだろう
全てが思うようにいくわけじゃない
だから迷いはある
悩みはつきなかった
大人にさえなってしまえば…きっと
根拠のない期待に少し頼りすぎてた
馬鹿だよ…俺
それでも君は僕のことを愛してくれる
でも君が僕に向ける視線がまぶしくてまともに見れないんだ
今日も…
愛し合っても愛したりなくて
抱きしめても抱きしめたりなくて
キスしあってもキスしたりなくてさ
愛すれば愛するほどに愛の深さにまいったりして
君を知れば知るほどに心の中に棲む自分の愚かさに気づいて そこに居着く悪魔をかいま見て
幸せの花は何処に咲いてるというのか
もしもこのままなにも見えなかったら僕は君を何の価値もない虫けらにしてしまうのかなあ…
愛そうとすればするほどに自分に甘えてしまう僕がしゃしゃり出る
君が優しさ見せるたびそれに頼って寄りかかってしまう僕があらわれる
君に迷惑ばかりかけてるのに迷惑を迷惑だと思うこともなく
自分が良ければと愛してくれた君の恩を仇で返すような日々にまどわされて
心に咲く花はみるみるうちにほら見る影もなく無惨に枯れてしまった
ああ どう君に謝ればいいのか 言い逃ればかり達者じゃしかたないよな
新しい種をねだってもひとつしかないからもう終わりかな…
違うよな…俺
逃げてきたなら今からでも引き返して
君のあの部屋へ走れ
そして涙に暮れる君を抱きしめてしまえ
あんなに愛し合えたならきっとまたやり直せるさ お互いそれを求めているならば花は心に返り咲くはず。