詩人:甘味亭 真朱麻呂
僕たちはいつでも見えない壁の前にいる
その壁は見えないから立ちはだかってることさえわからない
でも壁は見えなくても確かに目の前にある高い塀をイメージしてる 夢だとか愛だとか使命だとか様々な壁を
大人になるたび増えていく… 子供の時はほんの小手調べさ
囲まれたら最後 壁に押しつぶされてしまうけれど
子供の壁は大人には見えない
大人の壁は子供には見れない
だから忘れたように大人は子供の意見を打ち消しいがみ合う意見がぶつかって相打ちになる 繰り返す事なんだ
明日がすぐそこに立ちはだかって
明日におそれをなして逃げたくなっても
子供は大人にはわからない勇気で大人は子供にはわからない勇気で立ち向かう
言い表せられないけど
わかるはずもない大人の苦しみや痛みを子供に説いても無駄だし
子供の苦しさより大人の苦しさのほうが苦しいと知った大人を説得するのは無理だから
壁は消えず 増え続ける一方だ
一人のからだに二つの心
大人の心と子供の心を持った二重になった心
大人になったという事実は理解していても大人になってしまったという自分と大人になれたという自分が心の中で対峙したとき意見が割れる
だからその言い争いは尽きない
いつまでもしつこく続いてゆく
永遠の言葉の戦争なのです
この世界で最も小さくも最もややこしい問題です
そうしてまた僕は心の中の自分と対峙する
どちらが正解か
どちらの味方につくべきかもわからないままでただ二人の自分を暗闇の中でその争いを黙って見続けているのです
なにも口をはさむことなく
ただ壁のように立ちはだかってるだけで。