詩人:甘味亭 真朱麻呂
僕は石ころ
流れる時に削られてだんだん小さくなっていつか消えちまう小さな石ころ
削るのは時間じゃない
そうさせる運命なのに時間を盾にするから僕らはいつも時間をうらむの
川面をぴょんぴょん跳ねる石ころみたいに元気よく生きたいのに
いつもそんな元気をくれるのは他人だからイヤでも人は人と関わりをもつしかない
経てば忽ち人間社会を追い出される
その時は
その時は
本当の石ころさ
笑えるな
笑えるな
笑えない石ころさ
石ころはただここに転がってる それだけを繰り返せばいつか死ねてしまえる
流れる時に削られてものすごい速さで進むあわただしい日常に殴られて
急ぐだけの人々に急かされてもうあちこち凸凹
石ころは旅することを望んだわけじゃない
なのに なのに
誰かが僕を生んだからだということも忘れてる日もある
愛しくて
憎らしい
こんな具合に定まらない気持ちのまま
まだ旅を続ける
自分でもそれはなぜかわからないけれど旅を続ける
旅はだから続く
望まなくても生まれてしまった
長く続く生きる苦しみと
一瞬ですむ一瞬の痛みと
どちらを選ぶか
答は今生きている僕が出しただろう?
そうさ 僕は生きることを選んだ
だから 今
生きている
石ころを続けてる
生きる痛みは楽しみを待つ快感にもなる
死ぬ苦しみは単なる終焉 後にはなにもない
死ぬ寸前でそう思えたから今も僕は石ころ
幸せで不幸な石ころ
川は同じ速さで
なれない速さで今も僕を削ってる
それでも笑う自分がわからない
今もわからない
それでもなぜだかどうでもいいくらい
理解ができる
そんな自分に気づいたの
そんな気持ちが消えでもしない限り僕は明日も明後日も石ころ
悲しい嬉しいただの石ころ
誰もどれひとつ同じものはないまたとない石ころ。