詩人:どるとる
どうしたものかと 首捻り答えも出ぬまま 夜(よ)は更けて走り出したる汽車に乗り 降りた駅にて見失う 問いたことさえ忘れ去り足跡だけがぽつりぽつりと 頭の隅にあるだけで ほかに見えるものは無し昨夜未明の出来事と思えばこそ 現に近しきその記憶幻とは言い難く 現だとも言い難し 懐に忍ばせた財布の中の小銭なら 酒に消えたとわかるのにこのさみしさはなんなのかこのむなしさはなんなのか解せぬ、判らぬ紐解けぬ昨夜未明の出来事。