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[177305] 暑中見舞い申し上げます

詩人:どるとる


長い長い坂道を 汗かき自転車でのぼる
君は笑いながら 蝉しぐれの中 僕に何かを言うけれど 何も聞こえない

それはそれは8月の暑い真夏の日のことでした なんにもない日曜日 通りに咲くあじさいがきれいに咲く なんにもない日曜日

「暑中見舞い申し上げます」とあなたが言うだけで僕の夏はやって来る

暑いねと繰り返し こぼす 午後の途中で
テーブルの上のコップの中の氷が鳴って
少しずつ少しずつ
暮れかかる空に 蚊取り線香がやさしく香る

待ってました 花火の夜 二人浴衣で 寄り添いながら
線香花火が落ちるのをじっと見つめてた

ほらね、暑いけれど
その暑さも過ぎれば
あとには切なさだけが残るだけ
不思議に恋しくなる

「暑中見舞い申し上げます」と君と声をそろえ言うだけで
僕らの夏は何度でも懐かしい香りをはこぶ

懐かしい景色を見せる
懐かしい景色で魅せる。

2012/07/16 (Mon)
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