詩人:どるとる
扉を開けば そこは知らない世界
あしたのあしたのそのまたあした
まだまだ 夜も明けないうちに僕をときめきさせる
なんて素敵な世界なんだろう
大して何もない 金もない 夢もない
それでも どこかしら希望に満ちてる
そんなあしたのあしたのそのまたあした
時計の針がいつものあの時刻を指し示せば 夜明けが来る
窓の外がもしも雨でも
瞼の裏には僕だけが見える 晴れ渡るあしたがあるから 悲しみなどないようなもの
あしたのあしたのそのまたあしたへと
流れる雲は 細くたなびいて 少し悲しそうに夜には 闇に隠れて 見えないが きっとあの闇の中で泣いていることだろう
そして 全てが全てに別れを告げて 僕の今日が扉を開けた その時にあしたはいつもの顔を出して 笑うのさ
そこにはなんのわけも意味もないけれど
最初からそんなものはいらないね
意味などなくても
僕らはここで
意味の意味を築く
理由などないから
僕らはただありふれた暮らしに身をおき
海や地平を描き
テーブルの上で湯気をたてる
コーヒーやあくびする猫たちに 幸せを見るんです
あしたのあしたのそのまたあしたにまで
期待を寄せる僕らのあしたのあしたのそのまたあしたは誰にもわからない
扉を開けば そこはいつも知らない世界
入り口はあるのに
出口はない
夜と朝があるのに
時間が壁になって
自由に行き来できない
だから僕らはあしたになるまで あしたと呼んでいた今日で あしたやろうとしていたばかばかしいことをやるため あしたへ行く あしたもあしたのためだけに
あしたのあしたはあるんです
あしたもあしたがあるんです。