詩人:遥 カズナ
忘れてしまいたいことは
空の彼方へと流れ去り
失ないたくなかったものは
海の深みへと沈んでいく
空や海を眺める時
えもいわれぬ感情が
呼び覚まされるのは
しかたがない
明るいうちは青く広く澄みわたり
暗くなれば黒く深く遠い
どんなにか目を凝らそうが
あくことなく手を伸ばそうとも
なにもとどきはしない
空を見れば
大切な約束があるような
海を見れば
探しに行くべき何かがあるような
そんな思いに駆られてしまう
鳥のように
飛び回りたいだとか
魚のように
泳ぎ回りたいとか
そんな話しではなくて
嬉しさや悲しみ
後悔と自信
男と女
どうとも言えはしないが
明日もまた
水平線の彼方から日は昇り
月もまたそこへと沈んでいくだろう