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詩人:甘味亭 真朱麻呂
君が夢見てる楽園はこの世界のどこにあるのかなあ
多分そんな世界はどこを探したってないと思うんだよ
だってそれもそうさ
君が夢見てる楽園はあまりに綺麗すぎるから
雨も降らなくて
なんでも自由で
他人とのいさかいもなくて嘘のない世界
すれ違う人みんな優しいばかりの人
そんな都合のいい世界が本当にあると思う?
ありがたさがつまった痛みを知らない君には涙を流す意味さえわからないだろうね
だけれど…
抱きしめてしまえば僕もそんな楽園を望む人の仲間入り
君と同じ穴のムジナだ
君ばかり責められない
傷つくことや悲しい涙を流す毎日から早いとこおさらばしたい
そう思うのは悪い事じゃないよと弁解を求める心がなぜかセコい罪と重なる
弱いものイジメ程度の罪と重なる
なんだかそんな楽園夢見る事がいけない事みたいで
心の中で君が笑う
こっちよこっち
ささやきながらいざなう
僕はその声に逆らうほどの力さえなかったから君にとりこまれてしまう
恋の虜
とらわれの王子様
たいしてかっこよくもないけれど
ここは身勝手で都合のいい夢ばかり見る人たちが集う王国
わがままキングダム
いつも笑いしか聞こえない そうさ楽園よりもパラダイス
涙なんてもう何万年流してないだろう
無駄にある無限の命
その中で笑い続ける刺激のない毎日
なんだか壊れてしまいそう
あんなに望んでたのに…
ハッと汗まみれで起き上がればそれは全て夢だった
僕に彼女なんていなかった
まるごと僕の妄想が作り出した単なる夢だった
さみしいような残念なような
よかったような学んだような
不思議な気持ち
胸の中で とぐろを巻く
二度寝する
そしてまた広がるのはそんな夢ばかり
僕は繰り返し望んでは悔やみ夢だと知りホッとする
きりもなく夢に沈下する夜に。