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詩人:旅人モドキ(左利き)
きみは歓楽街でほおばった ピッツァの味を懐かしむ
絶妙なトッピングと舌ざわり よみがえる記憶をかみ砕けば
北から転がる太陽は光り 熱波で焦げつく木陰だ
ア カカ カカカア からすが樹上で鳴くのか
登って確かめる洞穴に 生きる糧を蓄えついばむ影が
きみの草原をさすらう月日で 初めて間近に見たからす
高い枝を陣取っている様だ 読書にふけるときみは
リュックから水筒を出す 川魚を釣った緩流を飲み
ふたに注いで置いたら あ かあ かあかあ
寄ってきたからすが催促して 分ける度に距離は縮まってゆく
きみも飢えをしのぐため 保存食に口をつけるが
からすはプレゼントを強要しない お返しに向かった先で
卵を抱いていたからす 広場でのトラウマが襲い
走馬灯に囚われ吐きもどす 虚ろな四の星空を数え
大地を移ろうときみは決心する それぞれ両手に本と果実を携えて
あ かア カかカア ア カカ カあカア