詩人:かけてん
持たせた旗も、限界にちかかった
鎧をかぶったまま歩くからすぐにあるけなくなる
遠くで黙って見守る仲間たち
夕べの白さも忘れて
ただ秩序を忘れたあの見慣れない空
一向の旗を揺るがし
仲間は蹴落とされた
手もさしのべられずに
ただもがくも追い詰められる旅路
バタン
とうとう倒れて
気持ちも身体もけして立ち上がろうとしない
身をまもるため鎧ははなせない
そのうち涙が溢れだした
からからになった頃、ようやく陽がではじめた
小鳥はまたうたをうたいはじめている
少しだけ歩いてみた
気づくと仲間がまたあらわれた
黙って手をさしのべる仲間たち
ぼくは安心してひとつだけ鎧をはずした
そのうちまた歩いていると
バタンとたおれてしまっていた
仲間に声をかけると
また手をさしのべてくれた
鎧を外していこう
確かに誰かがそう言った
そして、いまも、歩いている
戦場のない、鎧のいらない場所にむかって