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[198860] 虚構の国のスメル

詩人:遥 カズナ

いつも臭いがする

ゴミになるしかない
新聞紙の活字と掲載された占い
まとめて結わえられた
インクの臭い

汚臭が
生活の一部なら
どんな臭いだろうが
平気になるのだろう

頭みたいに
振っても、叩いてみても
硬くなって
使えなくなった
塩コショウ

もうくたくたな
ひげ剃りの
鈍く尖った刃先と
剥ぐにはまだ早すぎた
血のついたかさぶた

どこのどの鳥のものかも分からない
力ずくで引き抜かれた白い羽
アスファルトに残るブレーキ痕と
焼けたゴムの臭い

退屈で気がついた
教室の椅子の下に貼り付けられたガム
踏みにじられたカタツムリにも似た
割れて砕けたスパンコールの欠片

体育館の器具庫でリンチされていた下級生
切れても飛び跳ねて動くトカゲの尻尾

「ビールも随分と値上がりしていて
通勤の為の軽自動車のガソリン代も
馬鹿にならないし」

いなくなってしまっても気が付かれない
雀たち
半分になる前に途中で割れてしまった割り箸

どっさり集めたセミの蛹の脱げがら
エアコンの室外機だらけに見えてしまう景色

久しぶりに見れた流れ星
主人が来るまでスーパーの前で待つ
結わえられた犬

「弁当に焼いて入れてた鮭も
もう目玉焼きで我慢する他ない」

AMラジオのパルスノイズの中
必要な周波数を探す
スマホは圏外だろうとも
どこの誰ともいえない
さだかさだけはある
ラジオの臭い

「トイレ掃除をしたのは先々月だったか」

呼吸をする以上は嗅ぐしかない

2025/10/23 (Thu)
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