詩人:甘味亭 真朱麻呂
夕闇が辺りを真っ黒に染めて少しみのまわりも落ち着いたら
普段じゃ滅多にしない事をやらないか?
たとえば普段じゃしない夜の音色に耳をかたむけてみるとか
虫の鳴き声 こんなに夜はきれいなものだったのか 気づくはずだ きっと…
閉じ気味の夜の眼(まなこ)を開いてみよう
見えない世界がきっと見えるはずさ
夜は眠るため 夢をみるため
そんな理屈誰が決めたかは知らねえが
そんな夢みたいな話を聞くから現実の中にある素晴らしい景色を見なくなる
だから
今こそ眼を開けて
本当の夜に目を覚まそう
まるで夜と朝がひっくり返ったように
街は人混みで溢れかえり人々は夜の中 せわしく働く
そんな大げさイメージひとつ小脇に抱えて
星を見にゆこう
せっかくの夜だから
神様がくれた命
流れる時間
感謝できる今
唯一 ほらあるだろう?
夜がくればわかる
夜を見ればわかる
夜の眼が今 ゆっくりと開いていって
急速に流れる時間にブレーキをかけて時を止めたような景色を見上げよう
そこには生きる喜び
存在できることの証のような何かが光っているから
閉じ気味の夜の眼を開いてみよう
見えない世界がきっと見えるはずさ
君がこの世に少しでも死ぬのもためらってしまうようなまだ死ねないような何かがあるなら
きっと見上げる景色に涙を流すだろう
それが生きている生きがいが形になったもの
君をこの世の中に引き留めている光
生きていく中で君がつまずくときそっとさしのべてくれる何か
神様は二つのものを人間に与えた
それは生きていくことを軽んじないため、人生に味わいを与えるために与えた哀しみと生きてることを素直に喜べる心を
哀しみと喜びは対になって今日も君を諭すよ
哀しみより喜びが求められる世界でも君が笑えるのは哀しみがあっての笑顔さ。