詩人:どるとる
彼のことをペテン師や偽善者という人もいる
中には恩人や親切な人として見る人もいる
彼の正体を知る人はいない
彼の本心を知る人もいない
彼を知らない人は孤独で暗い人としてしか見ない 彼のことを
彼を好きな人もいれば
彼を嫌いな人もいる
全ての人が彼を好きになることはないし
かといって全ての人が彼を嫌いになることはない
彼が笑う彼が泣く
彼がたまに見せる
小さな表情の違い
僕はただひとりしか
いない彼の一生は僕の一生でもありあなたの一生でもあると思う
なぜなら全ての人の人生は似たような場面があるから
あり得る一生さ
題名のない映画の中
カメラは死ぬまでまわる
どんな悲しみもくだらない場面もおさめる
記憶というフィルムが心の中の棚を埋め尽くす
さあ今日も彼という映画がはじまるよ
他愛ない会話も
くだらない昼寝も
数えきれない失敗も
犯した罪も過ちも
負った傷跡も
全てが映画の中の大事な場面になる
彼の過ごした日々はやがて永遠になる
題名のない映画 誰もが主人公さ
死ぬまではね
まわり続けるカメラのレンズにあなたの世界が映る。