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詩人:甘味亭 真朱麻呂
悲しみはまるで僕のもう一人の父親みたいだ
そしてほら思えば喜びは僕の母親みたいだよ
父親はいつも僕に厳しいから
悲しみは感情がないぶんだけ厳しさしか与えない
その悲しみで前へ進もうが人が悲しみに感謝をしようが悲しみは知ったことはないような顔だ
喜びもまた同じように存在している
同情も慰めもない
一緒に悲しみを分かち合い喜びを分かち合う事もないのさ
でも悲しみと喜びのふたつは僕を本当の子供のように熱心に育ててくれる
いつも いつも
見えないとこから
親に代わって心を育ててくれる親は悲しみと喜び
だとしたら僕はその間に産まれた子供なのでしょう
つまり父親役の悲しみと母親役の喜びに愛を注がれ僕は育ってゆくんだ 与えられた厳しさと甘さで僕はちょうどいい僕になる
僕はそう解釈することで毎日を生きてる
熱くもなく冷たくもない心で融通の利く人間になる
B型もA型も関係ない
僕はいろんな考えを選び使い分けられる人間になる
まるで悲しみからもらった途方もない厳しさと喜びからもらったあたりまえみたいなやさしさで僕は生きるんだ
完成なんかしなくていい不完全でもよくできた人間よりはずっと素晴らしいから
悲しみや喜びが僕になんの感情もなく喜ばせたり悲しませたりしてるという現実味あふれた言葉なんかねじ伏せて
僕は僕なりに死ぬまでつきあう
悲しみと喜びを同じだけ愛そう
好きになれないのは悲しみだけど
悲しみだって僕を憎んでるから悲しませてるわけじゃないし嫌うのはこちらの勝手だけど悲しみは少なくても僕を嫌いにはならないから
ずっと傍にいてくれるから
やはり少しじゃまだけど喜びばかり欲さないよ
だから悲しみもたまにはつまみにして酒を呑もうかな
なんて喜びと話す
話は弾む 見えない両親との会話
愛したい 実の両親を愛すようにこころゆくまま。