詩人:甘味亭 真朱麻呂
今日のはじまりが波が押し寄せるようなものならば
今日の終わりは波が引いていく切なさをはらんだものだね
明日もまた身が焦がれるような気持ち心に残して波は死ぬまで押し寄せては引いてを繰り返す
飽きることもなく
僕は同じ今日の中
同じ繰り返しを出迎え見送るのさ
波は押し寄せて引く
それが唯一の運命であるかのように
誰の命か ただ繰り返す
僕の目の前
薄らいでゆく
意識の先に
かすかな波の音
ああ あれは
引き潮のメロディ
また 今日も
終わるのだな
夜明けのあの景色が遠い昔の出来事のように少し時計を半周したくらいで記憶は時差ボケを起こすよ
悲しいものだが
はたして それは
致し方ない事
今日もそんな言葉でグッバイ
夢へと潜る
谷底より深い深い
意識の底へ
僕は身を投げる
またひとり
今日 僕が死んだ
弔いもせずに
ただ寝ぼけたように目覚めるまでは傍にいる いつの間にかそれも忘れる
夢うつつ
幻のごとく
今日の僕の記憶からすっかり抜け落ちた記憶の断片がなぜかうまくうまく涙でにじんでしまって読み取れない
そんな僕の人生は波
そう波そのものだ
あたりまえにはじまり
あたりまえに終わる
まるで生まれて死んでゆくことがたまたまであるかのようにそれは決まり事のように不思議な統一感を感じさせながら時が来ればみんな波のようにもう前へは押し寄せずただ後ろへ後ろへどこまでもどこまでも見えないところまで行き
やがて消えてしまう
いつか消えてしまう
無という世界が万物はプランクトンから残さず食い尽くす
本当の終わりが
押し寄せて僕の知らない明日でさよならグッバイ。