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詩人:アルバトロス
あの涙はどこへ行った
夕やけのなかで叱られて泣いた
赤とんぼが空を切り取って
雲が月の向こうへ帰っていった
あの涙はどこへ行った
ふるさとが急に恋しくなって泣いた
カップラーメンのフタの滴が
冷たくなって机を濡らした
あの涙はどこへ行った
弱々しく握る手を握りしめ泣いた
真夜中の病院の窓に映る泣き顔が
ぼやけてしまう前に目をそらした
涙にさよならを伝えられず
涙はさよならも言うこともなく
今は僕は笑顔でいるよと
自分自身に語りかける
言い聞かせるように語りかける
そして乾いた唇をペロリと舌で舐める