詩人:さみだれ
あの少女が生きた世界を
あなたは旅しているのだろうか
あの犬が温めたコーヒーを
あなたは口にしているのだろうか
あの婦人が憂いに浸る夕暮れを
あなたは見ているのだろうか
同じようにアイスキャンディーの棒を積みながら
あの少年の前世を
あなたは愛してはいないだろうか
あの魔女がかけた魔法を
あなたは信じているのだろうか
あの月の願いを
あなたは叶えているのだろうか
夕暮れの帰路をなぞりながら
彼の夢見た理想を
あなたはもう通り過ぎたのだろうか
彼女の心の内を
あなたはもう知ったのだろうか
愛するもののために生きるというのは奇跡ではなく
ましてや当たり前でもないのだろう
あなたは微笑むだろうか
この夜が青く染まったなら