詩人:甘味亭 真朱麻呂
昔々 はるか昔に
ママと話してた事だ
死んだら人間は何になるのかな
ママは笑って天使になるのよと言った
ママは決して嘘つきじゃないけれど
大人になった僕にはあまりに現実味に欠けたおとぎ話
それでも
それでもね
天使になる日を
天使になれる日を
楽しみにして待つ
楽しみにしてます
世の中にたった一人の僕のおかあさん
あなたが天使になれているなら
あなたが天使になったように
僕もいつかはあなたの元へ天使の姿で笑っているでしょう
たとえば悪魔になってしまっても
たとえば何も変わらない人間のままの姿でもあなたが愛に満ちた優しさで抱きしめてくれるなら
天使になどなれなくてもいいと思う
だけどあなたが天使になったというなら
僕も同じ天使にぜひ死後はなりたいな
今 忘れもしないあの昼下がりのくだらない談笑を思い出したら涙があふれて
大人になったのに涙があふれて
あなたにもう会えなくなったんだとふいによぎったから悲しくなった
あなたが座っていた縁側の床にそっと耳をつけてあなたのぬくもりを探す
あたたかな夏のはじめの昼下がり
あの風景こそは僕の宝物
これからも抱きしめて
これからの僕にはすごい支えになるから
心のポケットにそっとしまいます
あなたの笑顔
あなたの涙
あなたのやさしさ
そのどれもがたわいなくありふれたどこにでもある愛
だからこそだからこそ大切だったんだ
してやれなかった何かも伝え忘れた感謝の言葉も今じゃもう痛みでしかないけれどそんな痛みさえも前に進む力に変えて力強く踏み出す
あなたに向けて捧げるこの人生はばら色
いつまでも
いつまででも
僕はあなたの子供
昔々…はるか昔に
そんな思い出一つ夕陽にかざして微笑む今日はなんだか死ななくても天使になれた気がした そんな夕暮れ。