詩人:どるとる
たったひとつの命の燃え尽きるまでの旅とでも呼ぼうか それぞれ違う場所に芽を出し花を咲かせ枯れてゆくまでの一生を
時に 笑ったり 泣いてみたり 嘘をついたり
誰かを愛してみたり 憎んでみたり
実に様々な人たちと戯れ 関わって
それなりにめぐまれた毎日を生きてく
だけどふいに思うよ
なんのために生きているのか
なんのために生まれたのだろうと
そんな事考える暇もないくらい慌ただしい日々の合間に気づくと
ただこうして時間と身を削って 送る日々にさえ なんの疑問も持たなかった
こんなに何もかもが理不尽で残酷なくらい不可解な現実なのに
まぼろしのような日々の中 見ていられないくらいの光にだまされて
僕は今を生きてもなんの疑問も感じないほど 周りの空気にすっかりとけ込んでしまったのか
例えば仮に僕らが生まれていなかった世界を想像しても
そこにはきっとなんの不思議もなく ただいつまでも平穏な毎日が続いていたことだろう
だけど僕は今ここにいてまぼろしにはなれずに いつかは朽ちるであろう時を背負い くたばるまで生き続けるという
過酷な旅をしいられている
そんな辛い現実にさえ 笑ってみせる僕らは一体なんなのさ
やがてたどり着くその時にそなえて誰もが 額に汗し走るけど 僕にはなにができるだろう 考えるだけでもうこんなに時は経ってしまった
まぼろしのような 群れの中 なにを生きがいに生きていこう?
言葉に思いが追いつけず したいことさえままならない
とりあえず差し障りのないように 日の当たらない場所でくすぶってる
それが幸せなのか問いかけてみたところで明確な答えなど忽ち雑踏の足音にかき消される
いつか消え失せる今日はまぼろしだから
この平行線たどってみれば 僕はもうそこには居ないだろう
跡形もなくなってから本当のまぼろしに変わるのなら
今を生きる意味に迷う。