詩人:甘味亭 真朱麻呂
あの夏に置き去りのまま知らんぷりしてる思い出は
まるでひまわりのように一見鮮やかなはずなのによく見りゃ涙の色をしてるじゃないか
記憶を消せずに記憶に笑われて
夏の暑さにただまいりながら虚ろなまなざしで無意味な旅を続ける今も
明日を探して 探し続けて たどり着いた場所は見るも無惨な寒々しい未来
ここまでつけてきた足跡でさえまるで嘘みたいに思えるのは決して嘘じゃないんだ
それだけはジョーダンにできない
夏はまた今年もボクにめぐってくるけどボクはまるで知らんぷり
素通りするよ
夏は嫌いなんだ
汗もかくし暑いし
何より思い出が切なすぎるから
どうかひまわり
あの夏の恋を忘れさせて見事に散りなさい
おぼえてても胸が痛いだけ
ただそれだけの記憶と笑うな
ボクだけが知ってる思い出だ
だけどひまわりも知ってる思い出だ
ああ 太陽が熱を空の上から放射してる
日差しを避けて心の扉を閉めて ガチャリ鍵もかけて
しばらくはおもてにでない
ひまわりと恋とあの人との夏と記憶の中でいつまでも笑う思い出
なぜか夏が来るたび胸の中で再燃されるようによみがえるよ
切ない痛みとともにボクはもの悲しくそれを見つめるんだ
永久にゆるされないボクの罪をキミにゆるしを乞うように
ボクはただ涙する
足をふと止めて
立ち止まる 夏さ
五月雨 雷
すべてがもう見飽きたお決まりの夏だ
だけどキミのあの笑顔は今でも恋しいよ
そんな気持ちさえも燃えてしまう
今じゃ悲しみでしかないけれど早く忘れろという心の声さえ振り切って抱きしめて抱きしめているのさ
真夏の空の下でも凛と咲き続けるひまわりのような強情さでほら今年も舞い戻るあの恋
心に突き刺さるよ
陽射しの合間を縫ってボクのすべてを焼き尽くす
逃げ水の彼方 幻と重なるようにキミが優しく笑う。