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詩人:OBO
ボクはこないだ
呪文をひとつ覚えた
2人にしか通用しない
2人だけが使える
その日かぎりの魔法
2人は目を見て
何度も呪文を唱えたの
臆病な2人の
複雑だった感情
あの日にやっと
解き放たれた
まさに奇跡の極大呪文
夢だとしても
おこがましいのに
たまに現実は
想像を越えてゆく
交われない理由は
いくつもあって
破れない理が
ひとつだけある中で
君とボクはやっと
触れ合えたけど
水と炎が触れ合えば
結果は言うまでもなく
ふたりとも
始めから解ってたこと
あれは奇跡の極大消滅呪文
次がないから
踏み切った
今しかないから
輝いた
別れ際、
もし君が振り返って
立ち尽くしたままのボクを見たら
君の心のはじっこに
ボクがひっかかる気がしたんだ
だからボクは
君と同時に歩いた
もし君が振り返っても
ボクの後ろ姿だけ
君の心には何も残さない
ボクはきれいに消え去るからね
“最後だから”
何度も繰り返し唱えた
ふたりの呪文
ボクの気持ちの方が
少しだけ重かったみたい
あの後
何度も振り返って
後ろ姿を見た
それはきっと
ボクの方だけだ