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[178349] ビードロ

詩人:どるとる


他人の頬に伝う涙と
自分の頬に伝う涙を
秤にかけて
どちらがどれだけ
重く尊いか量っても
そこには意味は生まれない

生まれた場所や
もって生まれた境遇を
いつまでも嘆いていてもそれはただ悲しいだけだ

運命は時に残酷にあなたを突き放して
傷つけることもあるけれど
雨空が晴れていくようにきっといつかは笑える時が来るから
生きていくことをただ悲しいだけで終わらせないで
あなたの幸せを見つけられるのはあなたしかいないんだから

向こう側が透けて見えるビードロのような潔く嘘のない心で
誰とでも 向き合いたい気持ち抱えながらも時に人の闇に気づいて 憎しみにのみこまれそうになるけど

それでも人の優しさや思いやりを知っているから

他人と自分のあいだにそびえる壁をぶち壊して なにが違うというのか 人の欠点や失敗を笑う自分を
迷わず悪と呼びなさい
見た目とか姿形じゃなくて中身から美しく輝きたい
ビードロのような透明な気持ちで 包み隠さず向き合えたなら
他人も自分と同じようにためらいもなく愛せるから

世の中の暗い影の事情 時によぎる嫌なニュース
そんなもの本当は少し考えればわかりそうなものなのにどうして僕らはつまらない争いを 虐めをやめられないのか?

階段を駆け上がって
ビルの屋上に来た夕暮れ そこから見える夕陽の赤さに命の片鱗を垣間見る
平気で人を傷つける人にも見せたいこの景色 あなたには聞こえるか?謳うまでもないこの呼び声が

ゴミで散らかすような行為を僕は きれいごとや単なる同情で片づけようとは思わないけれど

あまりに目に余る世の中の汚さに 時にこの身をふるわせて
憎しみさえわき上がるのを禁じ得ない

僕自身さえ自分を美しいとは完全に言い切れない部分もあるけれど

人の命を脅かすことや人を悲しませることにはなんの心も感じられない。

2012/09/03 (Mon)
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