詩人:甘味亭 真朱麻呂
もうすぐ二十歳
不安と期待で胸の中いっぱい
二十回目の苦悩の始まりともう戻れない若さに終わりを告げるようにサヨナラ
涙と笑顔の別れ
遠ざかる列車に手を振りただ過ぎ行く季節ぼんやり眺め
消えそうな記憶をただ眺める
僕もこんなんでも
二十歳
みんな歳をとれば
二十歳
二十回目の苦悩と快楽が襲うのだ
あともう少し
時計がその時を告げたらもう僕はその瞬間からオトナだ
さあ どんな未来が
さあ どんなページが
僕を待つだろう
まだ見ぬストーリーに武者震い
本当はこわかった
本当はこわかった
それでも今はもう
それでも今はもう
結末の先の先
はるか昔の出来事
風のような儚さが
今は鏡に映った白髪の自分にため息を零す
そんなふうに意識だけ飛ばして頭の中を旅した日
ああ もうすぐ二十歳だ
ああ 百歳…あとは死を待つだけ…もうそんな時間か
次、目を開けたら僕は何歳だろう
現実は少しゆがんで僕を映すから若くも年寄りにも見える
それはきっと見た目だけなら若く心だけは年寄りだということだろう
ああ 通算二十回目の苦悩
今 僕の肩を叩く
やさしくただやさしく 感触さえもなく前触れもなく ささやかな予感だけを感じさせて
いつか 死ぬときもこんなふうに予感だけが襲うかな
今 考えてた
二十歳まえの僕の頭で
二十歳まえの僕の心で
今 考えてた
光と影をしょったまま。