詩人:甘味亭 真朱麻呂
風はどこへ帰るのかな
いつも風の帰り道を探しているのに
風はあまりにも自由で見えないから
風を見失うどころかいつも気配すらなく瞬間でご帰宅
ああ 僕も風のように自由になれたなら誰かのとげのような言葉にすら耳を貸さなくていいのに…
願いはどうせ叶わないから言わないよ
僕の願いはどうせ大げさだから
叶うわけもない
叶える気もない
「明日は明日の風が吹く」
いつも口癖のようにそんな曖昧な言葉でおやすみするんだ
詩を書こう
歌をつくろう
あれをやろう
これをやろう
楽しいな
自由と自由のあいだには苦しみがあるから僕はギリギリ救われてる
そう感じることで救われてる
暗闇にともす灯りはなるべくまぶしくない小さな灯りがいい
まるでマッチみたいなはかない灯りが優しくともる そんな未来であれば上等さ
夢に見たんだ 自分の死ぬ日を
僕は遺影の中でばかみたいに笑ってた
そうなると良いな
そうなると良いな
縁起でもないけど
真実味に迫った事だろう
拭えやしない
僕のいつかなくした笑顔はどこへやら
僕のこれからなくす命はどこへやら
僕もいつかどうせ死ぬなら
大好きな君の隣に逝きたい
どこまでも身勝手な
どこまでも聞き分けない
どこまでも独りよがりな
孤独しか頼りのないひとを君が救った
君は 君は 僕の帰り道 ともる灯りさ
風の帰り道 ともす灯りが月ならば 僕の帰り道 ともる灯りは君です 君です
いつか終わりの日に僕の世界の全てが深い海の底に沈んで刻んできた全てが真っ黒に塗りつぶされる日には君と手をつないで逝きたい
一緒にゆけるなら
明日の帰り道 風は僕に手招きする
そして君と僕の新しい世界の鍵をくれる
でもそれまでは君とリアルな世界で仕方ないから待機だ
そう思う事も間違いじゃないだろう。