詩人:どるとる
ひとりぶん
多くつくってしまった夕食 向かい合ったふたつの椅子
残されたように
僕は一人味気ない
夕食をとるんだ
気づけばほら 季節も変わりはじめて
街の木々も衣替えするようにやがてあざやかに色づくのだろう
「さよなら」聞こえないふりしていたけれど
この胸にあの日のさよならが残り火のように まだ消えない
おもかげだけが 部屋の隅に 居るようで
もう会えない君の笑顔 君の涙 君のあの声
世界中どこを捜しても どこにも君は…
もう伝わらない届かない 僕だけを誰よりも愛してくれた
君のあの何もかもを包んでしまうような
ぬくもりも優しさも
おもいでだけが 心の奥で 燃えている
もっと色んな事をしたかった
もっと色んな場所に行きたかった
後悔だけが 生まれてはシャボンのように消える
おもかげだけが 部屋の隅に 居るようで
もう会えない君の笑顔 君の涙 君のあの声
せめて二度と会えないのなら 一言だけ
「ありがとう、ずっと愛してる」 それだけ言わせてね
いつの間にか
食べ終わったお皿の上
残ってる涙の跡
僕はそっと立ち上がる
前に進むために
おもかげに手を振って
おもかげに手を振って。