詩人:どるとる
手のひらに着地したらわずかな冷たさを残してすぐに溶けてしまう雪
僕の心の中にも降り積もっている
それは形のない雪です
君がいつか言い残したさよならが今も溶けずにあの日のままの冷たさで僕を悩ませる
雪なら溶けろよと
言いたい気持ちさえ
届かない 伝わらない
記憶は感情をもたない
君のあの笑顔
君のあのまなざし
どうしてこんなに
鮮やかなまでに
僕は記憶に焼きつけてしまったのかな
君が大好きだった
本気で君を愛してた
そしてその気持ちは永遠のものだと思ってたから君がいない今じゃそんな気持ちさえ錘にしかならないのに記憶は忘れようとさえせずずっと君の記憶のすべてを大事に大事に覚えているよ
溶けてしまえと願うたび悲しくて悲しくて
心が崩れてしまいそうで仕方なかったよ
君が好きだった
まだ信じていたい
君の帰りを待ってる
淡雪のようなやわい期待とそれを守るように優しく包む君の記憶を並べてこの部屋は今も君の帰りを待ってる
ばかだよね…
それでも
僕は忘れられない
それはそれはそれは美しすぎる記憶ですから
あんなに人を愛したことはないから
僕の中に積もる雪はやまず溶けることもない
冬が終われば消えてしまうようなつまらない雪とは違うのさ
僕はまだ君を誰がなんて言おうと愛してる
君という雪を溶かしたくはない 永遠に。