詩人:高級スプーン似
怖い怖い
真夏の怪談
オチまで読めるか
口裂け女に花子さん
てけてけくねくね
人面犬に稲川さん
正体不明から有名人まで
百物語を千夜も読めば
嫌でも気付くよ
隠されたトリックに
それは血じゃない
真っ赤な嘘だ
全部
本当にはなかった
作り話なんだよね
お化けなんてないさ
幽霊なんていないんだ
妖怪も悪魔も
サンタクロースと同じさ
でも
サンタクロースは
フィンランドに
沢山いるって本当?
パパの
演技じゃなかったの?
それならさ
家の中で
パパが
暴れ回っているのは
お酒を飲んだから
じゃなくて
パチンコに
お金を飲まれたから
じゃなくて
人生に疲れたから
でもなくて
何かに憑かれたから
なのかな
それならさ
いつからか
ママが
ぼくを
見なくなったのは
ぼくが幽霊になったから?
いつからか
パパが
ぼくを
殴るようになったのは
幽霊を退治したいから?
学校に行ったら
机の上に
花瓶が置かれていて
クラスメイトの皆や
先生にも
ぼくが
見えないみたいだし
いつからだ
学校の七不思議に
ぼくが加わったのは
死んだ記憶はないのにな
真実味のない
この世界は
現実なのかな
教室を抜け出して
地に足つかない状態で
廊下をさまよって
真夏の階段
落ちたら覚めるか
この悪夢
嫌なら気付けよ
朝の日差しに
それは血じゃない
真っ赤な嘘だ
全部
本当にはなかった
怖い夢なんだよね
ぼくは呟いた
はるか頭上から
ぼくを見下ろしながら
kikaku2012落下