詩人:老女と口紅。
朝 一番にぴーちくと
鳴き狂う雀の子
斜光 厳しく 目蓋は重く‥
出された味噌汁など
じっと見つめてもみる
漆の椀は大正浪漫
椀内から揺らめき出ゆる煙は熱々の証
覗き込む先に見えるは赤茶けた羊水
母なる体内に白く浮かぶは角切り豆腐
エメラルド・グリーンは刻みネギ
青きその身を揺らすは北国のワカメか‥
存分に目で味わう
見てよし‥嗅いでよし‥
この時ばかりは
温かい白いメシ、
ダシ巻き玉子に韓国のり
厚切りの紅ジャケさえも脇役へと‥
ごめんよ‥
君を
只の味噌汁と思ってた
違うんだね
君は僕の LIFE
そのものだったんだ
目からこぼれ落ちるは感謝の雫‥
ほら 感動でハシ先も震えているよ
今日は揚げさんが入ってなくても‥…いいんだ
君の大きな存在に気づいたんだ
もぅ残さない
残したりするもんか‥
でも
白じゃ駄目なんだ
赤でないと
赤味噌でないと‥
あぁ‥
僕は
赤味噌さんしか
愛せないんだ‥…