詩人:どるとる
この窓から見える景色は瞳が見ている景色 嘘の入る隙はない 全てが本当のこと
遠い異国の窓辺には
今も戦争が見える
くだらない理由で
今日も人がその命を奪いあう
僕の部屋の窓からは
退屈な昼下がりが
ほら見えているよ
幸せというには
あまりにもわかりやすくて穏やかな毎日がいつか崩れ去ると疑ってしまうよ
僕の瞳が窓の外の景色を 美しいものは美しいと醜いものは醜いと嘘偽りなく心に伝えれば
ただの退屈も幸福に思えるから
何ひとつ不満はなく
ただのひとつさえ僕にはこれ以上何かを望むことさえできない
そこにある平和という価値のない宝石のような毎日と
遠い異国の人たちの思う幸せとを結ぶのは違いすぎる思い違い
僕らは真顔で嘯く
幸福とはお金や贅沢をすることだと
窓の外に広がる
充実した日々を呪う
これが本当の幸福だとしても絶え間なく僕らは欲張って
戦争のない国でも
つまらないことで
人を憎み 美しいものを美しいと思う当たり前な心さえどこかに置き去りにしてきたような
幸福の窓辺から 見える瑠璃色に輝く世界をそのまままっすぐに美しいと肯けない
僕らには二度と見えない景色だ。