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詩人:鰐句 蘭丸
まる 俺が初めて飼い猫として迎え入れた猫の名前
9年前 仕事のお客様が保護した野良の仔猫だった
生後1ヶ月位の小さな茶トラ
片手の手のひらに乗るくらいの小ささだった
何匹かいる保護猫の中から物怖じもせず差し出した俺の人差し指に鼻で近づきくんくんした
俺の一目惚れだった
生後1ヶ月の小さな体長の割に尻尾が長いのが特徴的だった
9年少し経ってからも俺の「しっぽ」の呼びかけに尻尾をフリフリしてくれた
身体の茶トラは片側は普通の虎模様
片側は大雑把な魚の鱗の形をした模様
お腹はその鱗模様の細かい感じの縞模様
俺はこのお腹の模様も気に入っていた
まるのおデコ
お腹
身体を匂うと香ばしい匂いがして好きだった
初めて家に連れ帰った日結構ノミとダニにまみれてた
病院で虫下しをしてもらうと一時的に元気なくなったけどすぐ良くなった
でも 生まれたばかりで親にはぐれたかで母乳が足りなくずっと成長不足だった
歯茎と歯ももろく子供の頃はカリカリを食べられていたが成猫になると柔らかい食べ物ばかりになってしまった
中でも俺が釣ってきたキスの刺身を分けてあげると「ウマイウマイ」と鳴きながら食べてた
釣りに行くたびまる用に刺身を作るようにもなった
幼いうちは玩具にも敏感に反応して
まるが楽しむ以上に俺たちが楽しんでた
幼いうちからずっとだったけど
賢かったな
俺たちが家を留守にしている時は
家で待ってたね
用意されたご飯と水以外は口にしなかった
台所の三角コーナーはもちろん
俺たちが不用意に置きっ放しにしてた食料や菓子袋に手をつけたことなかった
持病もあってだか 大人しくなったお前とのコンタクトは
サイレントにゃー
目を合わせ
目を閉じて
にゃー(サイレント)
まるは お風呂(シャワー)嫌いだった
本当に気の向いた時にしか洗ってあげなかったけど
相当 水 お湯 嫌いだったからね
洗ってあげようと追い回す俺から逃げ回ってたね
でも そんな時間も俺は大好きだった
元気な時は脱走もした
何時間も帰って来なくて本当に心配した
地元情報誌の写真募集に応募して雑誌にも載ったね