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[179098] 詩は泥濘の中からも生まれる

詩人:どるとる


戦火の中でもね
争う人のすぐ傍で
平和を願い歌を歌う人がいるでしょう

いじめをする人
される人
同じ空を見上げても
そこに映る世界の違いに嘘も本当もないけれどどちらの瞳にもきっとろくな世界は見えてないさ

街は耳を塞ぎ
目をつむり
見過ごしては
聞かなかったふり
そんな毎日の中でも
歌はそっと密かに
生まれている

何気なくドアを開けて 散歩の途中に見つけた花や風の音、お母さんが小さな子供を呼ぶその声が
僕の中に歌を生み出す
ラララやルルルに言葉を乗せて僕らは平和という大それたテーマを単純に愛と説く

訪れた朝に フライパンからこぼれた目玉焼きの焼き具合
おはようという君とおはようと返す僕
そんな日常の何気ないあらましの全てが明日へと繋がるように
今ここで僕らが歌を歌うように
石ころ高く積むように
積み重ねていく毎日がやがて誰かの笑顔になるように
単純でいて難解な
僕らの夜や朝や昼が何がしかの物語を創るのなら

詩は泥濘の中からも生まれると

詩は雑踏かき分けて聴こえてくると叫ぶ

明日もまた日は昇りまるで何事もなかったように朝が訪れるならば

せめて昨日よりも少し数センチ前に進めなかった人が前に進めるよう

せめて泣きはらしていた誰かの涙が嘘みたいな素敵な今日が来るように
僕は願うから

だから裸のままで歌うよ
聴こえない歌を歌うんだよ

誰のためでもなく
ただ、此処にいるために。

2012/10/17 (Wed)
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