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詩人:鰐句 蘭丸
今年の春になって妹猫が急遽出来たけど
優しく迎えてくれたね
やんちゃな妹猫こはるのダイナマイトアタックにも弱った身体でお兄さんの意地で仕返しした姿
頼もしかった
妹猫こはるもすごく懐いて
台風の夜には犬のニコ まる こはる みんな揃って避難場所の玄関でアニマルミーティングしてた
この数ヶ月は頑張ってたね
猫エイズと白血病と歯周病でご飯食べられなくて
ただでさえも痩せっぽちなのに
今日の3日前には家を出ようと玄関に居座り
気持ちをくもうと玄関開けて後を追えば道路でうずくまり
「バカか!独りで居なくなろうとするな!」
連れ戻しても また 同じことを繰り返し
「勝手に独りで行くな!独りで行こうとするな!」
そのまま まるを抱き上げて散歩した
それが まる との最後の夜の散歩になった
俺はまると話した「また魚釣ってくるから お前が食べたことない魚まだまだ釣ってくるから 食べてくれよ 一緒に食べよう」
まるを抱きしめて 涙が出た
まる お前を家に連れて来た時から
お前の最後をみとることは決めていた
だから お前がどんなに拒んでも
独りで行かせるわけにはいかない
人間の勝手な都合で申し訳ない
でもこれは動物の流儀ではなく
人間の流儀
どうか
看取らせてください
今朝 妹猫のこはるが夜中からずっと騒がしかった
普段夜中に二度三度おやつにオレを起こすこはるが朝の時間になって俺を起こした
いつも起きる時間
こはるにご飯をあげて
まるを見に行く
目を開けて呼吸をしないまるが横たわっている
まだ身体は温かい
でも 呼びかけにも接触にも反応しない
「頑張ったね」
「おつかれさま」
もう充分だった
食べられない 飲めない
辛かったろう 苦しかったろう
くたっとなったやせ細ったまるを抱いた
今までのまるとのシーンが駆け巡る
今日まで
今日まではまるとの思い出を噛み締める
泣くけど
いい
ありがとうまる
俺たちのもとに来てくれてありがとう
お前の存在が幸せだった
癒しだった