詩人:どるとる
深淵の奥より 現れる 闇をも喰らう獣なら その胃袋を満たすのは赤く滴る生肉に非ず 人の口より集められし嘘か真かも紐解けぬ 怪しき噺を束ねたる 数多の書物も凌駕する 怪異なる世迷い言戯れ言とは図らずも 人の口から人の耳へと渡り行く形を持たぬ死の記録それこそ即ち 口伝より出でる怪談と呼ばれし闇夜の囁き。