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詩人:剛田奇作
先週
うっかり 飲み込んでしまった 言葉が
今朝 僕から出てきた
真夜中の牛乳が 効いたんだろう
見つめ合ったが
お互いに 気まずくって
じゃあ
と言って 流そうとしたら
言葉は流される瞬間に
オレンジ色の 蝶になって
便器から舞い上がった
まるで花びらの淵から 飛び立つように
それは 優雅に
それは
それはもう
はじめから僕のものじゃ ないみたいだった
主を失って なぜか一層輝いてる言葉に
意外にも 少し
目眩がした
フワリと舞う度にきらめく
オレンジの 綺麗な鱗粉は
僕の1Kの 小さなアパートの窓 から漏れ出し
空 高くまで 漂っていく
蝶は
何かを探すように 弧を 描き
不規則に 揺らめいて
いつしか窓の向こう側
ふと
取り残されたようで 切なくもあるが
いつものコンビニに、弁当と週刊誌を買いに行く