詩人:剛田奇作
しゃかしゃか うっとおしい
水滴で濡れた
コンビニの袋
ソファに 放り
コートも 放り
充電の切れたiPod が 落ちる
ふと よぎる
君がいつもしていた
あの マフラー
似合ってないでしょ?
って 清楚な高い鼻をこすってさ
そうだ
君だっけ
先に 歩き出すのはいつも
去りたい気分なのは 僕なのに
怪我するのもいつも 僕
喫茶店で負傷
石垣で嗚咽
シャツの裾までも 過去を縫い付けた って
また 笑われた
せわしない神様に
ゆっくりまばたきするのは 飽きた証拠?
レジのそば 人のいない禁煙席
ストローを指す 仕草
窓の向こう、雨の駐車場
くしゃみの次の瞬間の、君の瞳孔
無数の星の一つが 僕で、
ある 一つが 君なら、
どれだけの距離で 存在できるんだろう
ロバの形の コースターを 窓に貼って
二人でいたずらをする
「影すらも
交わらず 塵になったの?」
触れたかった
差し出された君の、湿った指先