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詩人:高級スプーンあと何年
新しい景色
動いているのに素通りしていた
視界には入っていたのに
噂には聞いていたのに
右から左に流れても振り返らずに
あてもなくぶらぶらしているうち
初恋相手は結婚して子どもが二人
実家のタロウはココに代わり
思い出のバンドは解散して復活を果たしていた
アルバム十一枚目を出すまでの期間
同じだけ生きていたのに同じじゃない
記憶はたしかにあるのにな
中身がどうにも見当たらない
新しくなる景色に
目移りしてばかりで
肝心なものは何ひとつ見えていない
違う
そんなことが言いたいんじゃなくって
そうこうしているうち
初恋相手は離婚して
子ども二人は大人になって
横切っていくのを横目に
大人になれずに死んでいくのか
一度座ると中々立ち上がれない
差し伸べられた手
希望の光
スポットライトを前にしても重い腰
仕事をしない言い訳を考えて
一日を終える
最新曲で再ブレイクを果たす中
ソラはいまだに懐かない