詩人:甘味亭 真朱麻呂
夏の扉に手を掛けたらそのまま開いてしまうね
それはみんなに運命づけられたものだから
回り続ける季節の中で繰り返されてゆくものだから
最初はみんな夏なんて暑いからいやだと思っていただろう
だけれど夏も来てみれば暑いだけにはとどまりません
暑さの中にも楽しい何かがある
みんな知っているけれど
そんな気持ちさえ吹っ飛ばされてしまうほどバカみたいに暑いからもう夏が過ぎるのを待つしかないねこりゃ
夏の夜空に花火があがったら君の笑顔が暗闇の中浮かび上がる
夏の扉を今 開いて
夏の扉をやがて閉めるときまで僕らは暑いだけの夏を変えるんだ
夏を涼しく過ごすには心の平穏を手に入れることが大切だよ
君がいれば叶うことだよ
愛をかんたんにくれさえすればこの夏は無事に乗り切れる
夏の夜空に蝉の鳴き声が悲しく切なく聞こえる
夏の夜空に出店のにぎわい この3日間は町の祭り
まるで蝉の鳴き声で始まり終わる夏
夏が終わったあとには道路に蝉の亡骸
なんてはかない命
夏なんて短いのにこの暑さで感覚が狂うのね
今 夏の扉を開けてほら暑さなんて気にせずに両手日に焼けて 長い休みが終わればみんな真っ黒け
中にゃ真っ赤な子
麦わら帽子が要らなくなる季節 だんだん冷たい飲み物も歯にしみるようになり
スーッと暑さも引いてゆけばまた寒い冬がくるんだね
明日 僕らは最後の夏に会いにゆくのさ
祭りが終わり 休みが開ければ 夏ももうおしまいだろう
あとはただ眠ったように日々が過ぎてゆくだけだ
夏の扉が閉まってまた来年までサヨナラ僕のサマー
日本の夏よ
忘れがたき思い出を残して線香花火がポトリ落ちるように始まりも呆気なく終わってゆく
さらわれた夏
またここに戻る
一つ歳をとった僕を出迎えるだろう
夏のおたより一枚
あなたに言付け。