詩人:甘味亭 真朱麻呂
涙流れると心の空に降り出す悲しみの雨
まるでずぶ濡れになるよりずっとみじめな僕がいたよ
少年の時代は終わりを告げました
明日からはルールに恥じない大人になれますね
よかったですね
なんて世間はいうが
悲しみの雨はやむどころか大人になった瞬間にさらにはげしくなりました
僕の心はもう水浸し
明日の景色も曇る
未来の希望も薄れる
そんなの他人事だわ
頑張りゃなんとかなるでしょ…他人は言いたい放題
僕の心の闇は広がり続けてとうとう宇宙規模に
悲しみがまた降り出せば涙もまた流れてそして塞ぎ込む日々
その連鎖の中でつながれた現実に僕はまるで死んだような目
うまく日常を泳ぐ方法を探すより
ずっとこの悲しみの雨やます方法を探してたんだ 探してたんだ
でも見つからずにもう僕は三十路を踏み越えた
見上げた夜空
場に不似合いに輝く月の光
ぶっ壊したい
そんな苛立ちを胸に明日はまた踊り狂いながらやって来る
パレードはなおも続く
僕の意見は無視されて
パレードがいつも通り続く
その列にまぎれ込む僕の顔
鏡を通して見なくたってわかるくらいの仏頂面
無理もないよね
わかってくれる人はいますか?
あなたの隣にはいますか?
それなら幸せなほうです
僕には抱きしめる犬さえいない 独りの身の上
頑張ろうとしてみたけど笑おうとしてみたけどなんだか無理矢理になっちゃうのさ
悲しみの雨に濡れながら心まで浸水した
肩より上 首の下
僕はもうすぐ溺れてしまう
その前にその前に誰かの助けが欲しい
空を見りゃ
用意もよく世の中に媚びを売る人の群
ただ従っていれば甘い思いができるとプライドを捨てた人の影
僕は独り呆れながら沈んだ
よどんだ日常の水底に。