詩人:高級スプーン
暗がりだった先には
ほのかな明かりに
照らされた
暖かな部屋があった
真ん中には
エメラルド色の
ダブルベッドがあって
その上に
ちょこんと座るのは
高校生になったばかりの
女の子だ
場所を移り
感染された記憶が
知らない情報を
覚えていた
あの目をしていないが
間違いなく
あの綺麗な
細くて白い腕だった
白い手に
おいでおいでと
招かれて
ベッドへと
無表情に直進する
触りたい
早く触らせろ
何か喋ろうとしたのか
開いた口を
左手で塞ぎ
離してキスをする
強引に唇をどかして
舌を入れようとしたら
顔を掴まれ離された
潤いを帯びた
大きな瞳を
こちらに向けながら
嫌々と首を横に振る
何を今更
誘ったのは
お前の方だろ
逆に顔を掴み返し
動かないよう
固定して
強引にキスをした
抑制が利かず
後は欲に任せた
拒む手を撥ね除けて
無理矢理
服を脱がし
下着を剥がし
裸にした
発展途上の
未熟な体を貪って
挿入するまで
5分とかけなかった
早く
早く
お前の中に
なんでそんなに
嫌な顔をする
笑えよ
喜べよ
感じてるんだろ
涙ぐみ
悲痛な表情を浮かべた
殊更に興奮し
勢いよく中へ
飛び出した
行為が終わり
背中を向ける男
触れたら
触るなの一言
どうして貴方は
いつもそうなの
自分勝手で
好き勝手やって
束縛したり
突き放したり
貴方の自由
私は不自由
いい加減にして
泣いても叫んでも
隔離された四畳半を
行き交うだけで
他には漏れない
溜めて吐く息さえ
無駄な気がした
午後四時半過ぎ
高校生の妹は
ちらりと
こちらを見下して
通り過ぎ
階段を上がり二階へ
父はまだ会社に居た
あの時
母を犯したのは
今も
背後に存在するのは
誰だ
身を置く場所に
常に本物の
自分が在るが
本当は
何処に居るのか
見当もつかない
僕はボロボロ