詩人:どるとる
あなたの顔についているその目はなんのためにあるの?
そのふたつの目で何を見ているの? その目に映すべき世界は本当にあなたの目に映ってる?
耳の痛いことに耳をふさぎ
現実から逃れるために夢ばかり見て
心まで妄想に浸かる
千里を見通す目はどこにもない
だけれど僕にはわかるんだよ
この先も変わらず未来は輝くどころかだんだん日を追うにしたがい腐ってゆくと
今 悩みという迷いという蜘蛛の巣が心にとりきれないくらい張って僕を永遠の闇に突き落とす
千里を見通す目がなくても
この先の日々は混沌と暗澹たる思いに満ちている
笑ってしまうくらい絶望的な未来だから
死んでもいいのだけど
にわかに輝くあの月の美しさが僕をそんな世界へ行かせることを躊躇わせる
この目はまだ何かを見たがってる
この耳はまだ何かを聞きたがってる
この口はまだ何かを語りたがってる
そして僕はまだ生きたがっている
ただそれだけが今
僕に見えるすべて
千里眼が見通した
見紛わない真実のあらまし
ほら 僕は風の音を聞き生まれもっての言葉で詩にする
それさえ生きていることの証になるから
僕は今たしかに生きてるのだろう
そんな理が垣間見えたなんの脈絡も纏まりもない時間に僕は出会した
心の目がきまぐれに映し出した幽かな真実
潮騒のように僕を呼んだ
その小さな声で
何かが僕を今も呼んでいる
だから僕は呼ばれる方へゆくのです
何ひとつ疑いもせずにただリードで引かれるように導くように導かれて
今日と明日をさまよいながら昨日にいつまでも固執しながらも進む
ままならぬ運命にもてあそばれながら
終わりある時間の中でその日暮らしでのらりくらり生きる
機を織るように少しずつ人生の完結をめざして走ったり歩いたり今日も御苦労候。